注目の職業「データサイエンティスト」。小学生の中にも将来データサイエンティストになりたい子がいるのではないでしょうか?
そこで「データサイエンティスト」について工学博士が解説します。
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データサイエンティストとは?
皆さんはデータサイエンティストという職業があるのをご存知だったでしょうか?
データサイエンティストとは一言でいうと、AIや機械学習などの技術を用いて、膨大なデータから何らかの新しい知見を導き出す職業です。
これだけだとちょっと曖昧でよくわからない職業と思われるかもしれませんね。もう少しわかりやすく説明するために具体的な例として皆さんに身近な回転寿司を例に挙げてみましょう。
回転寿司ではレーンにのっている商品の経過時間や売上状況をお皿にとりつけたICタグを用いて管理しています。
このタグを使うことで、どの店で、どんな商品が、どれくらいの時間で売れたか、あるいは売れなかったかといったデータを得ることができ、このデータを用いてレーンに流す商品の種類や量を調節して売上増加や廃棄量の減少に役立てています。
このように、ビッグデータから需要を予測してビジネスに利用したり、何らかの判断に利用するための予測を行うのがデータサイエンティストの仕事です。
実は、私自身は研究者でもあるのですがデータサイエンティストっぽい研究もしていたりします。そんなデータサイエンティストの立場から、データサイエンティストについてお話をしてみたいなと思います。
データサイエンティストになるにはどういった勉強が必要?
ではデータサイエンティストになるためにはどのような知識やスキルが必要なのでしょうか?人によって意見は異なりますが、私は大きく分けて3つのスキルが必要であると考えています。
プログラミング
一つ目のスキルはプログラミングです。
データサイエンティストはデータを扱うためにプログラミングを利用し、AIや機械学習などを作成します。一般的にはAIの世界ではPython(パイソン)という言語を用いてプログラムを書くことが多いです。そのためPythonを深く理解しているということが大前提となります。
また、Pythonのなかでも機械学習に関するライブラリ(ライブラリとはプログラミングで利用する共通部品のこと)なども理解している必要があります。
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統計学
二つ目のスキルは統計学です。
データサイエンティストがデータを分析する際にはそのデータの持つ統計的な性質を理解して処理を行うことが多いです。そのため最低限の統計学の知識が必要になります。
また、AI・機械学習は統計学とも密接な関わりがあるため、高度な統計学を理解していると、難易度の高いAIを利用することができ、結果として複雑なデータを解析できるようになります。
扱うデータに対する理解
三つ目に必要なスキルは扱うデータに対する理解です。
データサイエンティストがデータ分析する際には、そのデータのことを深く理解していないといけません。
なぜならば、データを分析した後は、どのようにデータを活用させることができ、そのデータの特徴をいかに大きく利用することができるかが大事になるからです。
例えばお寿司屋さんのタグのデータを利用する場合、お寿司屋さんの状況やそのデータがどういう目的で使われるかということを理解していないと本当に重要な分析ができないですよね。
このようにデータサイエンティストになるためには単にプログラミングができるだけでなく、幅広い知識が必要となります。
これらの知識は単に大学でプログラミングを勉強するだけではなく、自分で興味を持って色々と勉強し、自分の視点を磨いていく必要があります。
データサイエンティストは将来性あり?それとも消える?
ではこのようなデータサイエンティストというのはこれからどうなっていくのでしょうか。まずこれからの社会では AIや機械学習などがますます発達し、重要になると考えられています。
そのため、これらの AI 技術の開発を行うデータサイエンティストというのはより重要になっていくでしょう。実際にデータサイエンティストの平均給与は少しずつ上がる傾向にあるそうです。
一方で、データサイエンティストの仕事というもの自体をAIができるようになるのではないか、という予測も存在します。この場合、データサイエンティストは将来必要ではなくなるかもしれません。
しかしながら、私はAIがそこまで進化する世の中が来るのはまだ20~30年くらい先の話なのではないかと考えています。
ですので、小学生の皆さんが現在、一生懸命プログラミングを勉強することで、将来的にデータサイエンティストになって活躍できる可能性は十分にあると思います。
また、AIが人間にどうしても敵わない部分もあると思います。
例えば、AIは決められたデータから結果を予測をするのは得意ですが、そのデータを疑うことは(少なくとも現時点では)できません。
このように、データ自体の正確性やイレギュラーな事柄が発生した場合の原因究明というのは、人間の方がまだまだ得意です。
ですので、将来的にデータサイエンティストはAIが代替可能となるかもしれませんが、人間でないとできないところというのはいつまで経っても存在するのかもしれません。
30代
男の子パパ
京都大学大学院修了
博士(工学)