2020年から小学校においてもプログラミング教育がはじまったものの「プログラミングとは何なの?」「何を勉強させれば良いの?」よくわからずに困っているママパパは多いですよね。
そこで、今回は、梅野貴俊先生(福岡教育大学 教育学部 教授)他の論文「プログラミング教育のファーストステップ―アンプラグドで学ぶプログラムの役割―」に基づいて、小学生がプログラミング的思考を身につけるための方策をご紹介します。
家庭でもプログラミング的思考を身につけるための教育をしてあげたいと考えている親御さんは、ぜひご覧ください。
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アンプラグドプログラミング教育はパソコンがなくてもできる
プログラミングといえば、パソコンを使って行うものという印象を持っている人は多いでしょう。
たしかに、プログラミングの本質を理解するためには、パソコンを使って実際に計測や制御実習をした方が効果的であると言われています。
しかし、小学生がテキストエディタを使ってプログラミング学習を行うことは難しく、現実的ではありません。
そこで、小学生のプログラミング学習に最適であるとして注目を集めているのが「アンプラグドプログラミング教育」です。
アンプラグドプログラミング教育とは、パソコンやタブレットなどの電子機器を使わずに行うプログラミング学習の総称のこと。プログラミング的思考を育むと同時に、プログラムの役割を理解させることができると言われているんですよ。
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エレキット「PIECE」を使ったアンプラグドプログラミング教育の具体例
↑エレキット公式 http://www.elekit-store.com/
アンプラグドプログラミング教育は、カードやパズルなどによって行われることが一般的です。
しかし、カードやパズルを使ってのアンプラグドプログラミング学習では、プログラミングの結果が動作として反映されることがないため、プログラミングとは何かを理解するのが難しいと感じる子供もいます。
そこで、梅野先生は株式会社イーケイジャパンのエレキット「PIECE」という電子回路モジュールを使ってのマンツーマンプログラミング教育を提案しています。
↑エレキット公式より引用 http://www.elekit-store.com/
なお、「PIECE」は、以下のページで購入できます。
http://www.elekit-store.com/shopdetail/000000001140
↑エレキット公式より引用 http://www.elekit-store.com/
「PIECE」には、以下のモジュールがあります。
- センサー(入力)モジュール:ショック(振動)センサー・明るさ(光)センサー・音センサー
- 動きを変える(処理)モジュール:ノット(論理否定)・タイマー(時間制御)・コントロール(動作制御)・アンド(論理積)・オア(論理和)
- 電源モジュール:パワー・電池ボックス
- 出力モジュール:ライト(光)・バイブ(振動)・メロディ(音)・モータードライバー(モーター駆動)・モーター
- 便利モジュール:ケーブル・フック・ホーン
これらのモジュールをパズルのように組み合わせれば、希望するさまざまな動作を実現できます。
なお、さまざまなモジュールがある中で、特に重要な役割を果たすのは、センサー(入力)モジュール・動きを変える(処理)モジュール・出力モジュールの3つです。
実は、入力・処理・出力は、身近な家電製品の組み込みシステムの基本的な動作原理。そのため、これら3つの役割を理解することは、プログラミング的思考を培うための第一歩と言えます。
とはいえ、小学生がゼロから自分で考えて入力・処理・出力の3つを組み合わせ、新しい装置を作ることは難しいですよね。
そこで、最初は、「ある装置を作ってほしい」とお願いする形で、以下の課題を与えてみてください。
課題 | 内容 | 必要なモジュール |
---|---|---|
1 | 浦島太郎が玉手を開けようとすると警告する(玉手箱の中にシステムを入れ、蓋を開けようとするとブザーで警告する) | 入力:明るさ(光)センサー 処理:なし 出力:メロディ(音) |
2 | ゴミ箱をあさるカラスを撃退する(ゴミ箱の蓋にカラスがのると警告する) | 入力:ショック(振動)センサー・音センサー 処理:オア(論理和) 出力:メロディ(音) |
3 | 街灯のしくみをつくる(夜になるとライトが点灯する) 入力:明るさ(光)センサー | 処理:ノット(論理否定) 出力:ライト(光) |
4 | 犬の自動餌やり装置をつくる(犬が「ワン」と吠え、同時にお手を行うと、餌を運ぶモーターが作動する) | 入力:ショック(振動)センサー・音センサー 処理:アンド(論理積) 出力:モータードライバー(モーター駆動) |
課題1は入力モジュールと出力モジュールを用意すれば良い簡単なものですが、課題2~課題4は処理モジュールも組み合わせなければならないため、少し複雑です。
特に、入力モジュールを2つ用意しなければならない課題2と課題4は、多くの小学生が躓くと予想されます。
しかし、「PIECE」は動作確認を行って目的とした動作となるかを即座に確認できる教材であるため、プログラミング的思考を養う上で重要なトラブルシューティングとトライアンドエラーを気軽に繰り返すことができます。
わからないことがあった際には親子で一緒に試行錯誤をし、課題解決を目指しましょう。
アンプラグドプログラミング教育まとめ
↑エレキット公式YOUTUBE
小学生がプログラミング的思考を培うためには、アンプラグドプログラミング教育が有効です。
特に、エレキット「PIECE」を使ってプログラミング的思考を養うための課題に取り組めば、効率的にプログラミング的思考を身につけることができるでしょう。
【参考文献】
プログラミング教育のファーストステップ─アンプラグドで学ぶプログラムの役割─ 梅野貴俊(福岡教育大学 教育学部 福岡教育大学 教育学部 教授)と後藤栄太(福岡教育大学院教育学研究科) http://hdl.handle.net/10780/2332
ちぃちゃんママ 2児の母。
国立大学教育学部の大学院修了。
教育関連の学術論文を多数読破。
母親目線でわかりやすく学術論文を紹介します。