皆さんが食べている野菜や果物は、どのようにして作られているか考えたことがありますか?
農業と聞くと、重労働や泥だらけになったりと肉体面・体力面で大変な仕事であるイメージを持っている人も多いかもしれませんね。
しかし近年、スマート農業の導入で農業は変わりつつあります。
ユウちゃん
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もくじ
スマート農業はICTを駆使している
スマート農業とは?
スマート農業にはいろいろな定義がありますが、例えば、ロボット技術や情報通信技術(ICT=Information and Communications Technology)等のテクノロジーを駆使して行われる農業として定義されます。
農業は体力がいるし、人手不足
従来おこなわれてきた農業にはさまざまな問題があります。
いまだに人手に頼らざる追えない作業や熟練者でなければできない作業が多い農業では、農家の負担がとても大きいのです。
更には、日本の農家の6割以上は65歳以上であり、深刻な人手不足が問題となっています。
テクノロジーで農業のデメリットを軽減する
そこで、農業に携わる人々の負担を減らし、人手の確保をする手段としてテクノロジーを使用した農業である「スマート農業」が導入され始めています。
また、スマート農業によって得た正確なデータを使えば、大規模な農業が比較的手軽に実現でき、高品質でより多くの収穫が望めるとも言われています。
日本は食料自給率が4割ほどと低く、ほとんどの食料を輸入品に頼っていますので、ますます注目されるトピックであることは間違いないでしょう。
スマート農業と今までの農業を比較!
次に、スマート農業は従来の農業と比べてどう違うのか見てみましょう。
カンや経験
今までの農業では、収穫時期や育成方法は生産者のカンや、これまでの経験を頼りに決定されていました。
これらのカンや経験は一般的には他の人に教えたりすることのないスキルとして考えられてきました。
そのため新しく農業を始めたりする人や、新しい作物を始めようとする場合はこれらのカンや経験を積むために数年から数十年程度の時間が必要とされていました。
データで分析
一方で、スマート農業の導入によってこれらのデータを集めて分析することができるようになりつつあります。
これにより、農作業の経験が浅い人でも農業に取り組みやすく、農業を始めるハードルを下げる事ができると考えられています。
データを集め、AI(人工知能)を活用することによって、適切な水や肥料の量を把握できたり、環境の変化による病気の予測やより高品質で多くの作物を収穫する時期の予測にも役立ちます。
スマート農業の具体例
スマート農業により、画像判定などを駆使しより正確な収穫時期を判断したり、適切な育成方法を判断することが容易になりました。
質の高い作物がたくさん収穫できる
例えば、ドローンを使ったセンシング技術により、上空から広い畑の様子が把握でき、過去のデータや農家の知見と融合することによって農作物の病気を把握できたり、農作物の正確な収穫時期を知ることができます。
これにより、より品質の高い作物が多く収穫できるというメリットが得られます。
農業機械を自動走行できる
他にも、宇宙から衛星を使って位置情報を把握する事ができるGPSを活用することにより、農業機械を自動走行することもできます。
自動走行をさせておくことにより、夜間や天候の悪い日にも人間に代わって農作業をすることが可能になりつつあります。
このような画像解析的技術以外にもスマート農業はさまざまな面で農業をサポートしてくれます。
生産者の体が楽になる
例えば農家の作業には、収穫物の積み下ろしなど、力を要するきつい作業が多く存在します。
特に女性や高齢者には負担が大きいため、近年ではアシストスーツと言って、着るだけで楽に重いものが持てたりする装置も開発されています。
情報の透明性
生産者である農家の方々を助ける以外にも、スマート農業は消費者である私たちの生活をも助けています。
クラウドシステムやブロックチェーン技術などの情報を共有するシステムを使うことにより、普段食べている野菜や果物がどこから来たか、農薬はどれくらい使われていて、どのように作られたか等を知る事ができ、情報の透明性が上がります。
これにより、生産者と消費者がダイレクトに繋がる事ができ、お互いに安全と信頼を得ることができると考えられています。
参照:農林水産省 スマート農業 https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/
ユウちゃん
デメリットは研究開発費がかかりすぎること
しかしながらもちろんスマート農業も全てが完璧というわけではありません。
スマート農業には従来の農業にはない問題がいくつか存在します。そのうちの最も大きい課題が、莫大な研究開発費がかかるという点です。
スマート農業を始めるにあたってデータを集める作業が必要ですが、このデータを集めるためには莫大な時間と費用がかかります。
例えば、お米を育てることを考えた場合、基本的にお米は一年に一度しか育成・収穫できません。
そのため、お米のデータを得るだけで数年の時間が必要になってしまいます。
そのため、今のところスマート農業はまだ限られた作物にしか適用されていませんが、今後、データを取るためのハードウェアが発展するとデータを取ることが容易になり、スマート農業が拡充していくかもしれませんね。
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30代大学教員 あっ君パパ
京都大学大学院修了 博士(工学)