スマートシティと 聞いてどのような街を創造しますか?
手塚治虫やドラえもんの漫画に出てくるような未来都市でしょうか?
仕事をしなくてもロボットがなんでもやってくれ、食事やエンターテイメントが提供されるような街でしょうか?
実はスマートシティというのはすでにいくつかの地域で実現されつつあります。
今回の記事では今すでに実現されつつあるスマートシティについて解説したいと思います。
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スマートシティとは?
スマートシティの定義は色々ありますが、英語版のWikipediaによると「多様なIoTセンターを利用しデータを集め、そのデータから得られる知見を利用して、お金・資源・サービスを効率的に管理する街」と定義されています。
ここでIoTについて簡単に説明します。IoTとはモノのインターネットと呼ばれ、日々の生活で利用されるありとあらゆるものがインターネットで繋がり、相互にデータをやり取りするシステムのことです。
スマートシティでは街中のありとあらゆるところにIoTデバイスが配置され、このデバイスが街中の情報を集めます。
そして、このデータを利用してお金・資源・サービスを効率的に管理します。
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実際にどのようなスマートシティ、具体的事例
このようなスマートシティは実際に世界中のいくつかの都市で実現されつつあります。
アメリカ ニューヨーク
- IoTにより歩行者の流れから交通渋滞が起こらないように交通機関を調整
- 屋内外の大気状態をモニタリング
- モバイルアプリを通して地域住民の健康状態や行動レベルをモニタリング
- ごみのリサイクルが正しく行われているかの評価
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中国・杭州
中国の杭州でも、交通状況に応じて信号機を自動で切替えることにより、救急車の到着時間を半減させることに成功しています。
また、蓄積したデータを元に渋滞の原因を分析し、新たに信号機を設置することで自動車の走行速度を15%上昇させることに成功しています。
このようにスマートシティは、IoTで自動で収集したデータを利用して、交通システム、公共事業、水道ネットワーク、廃棄物管理、犯罪検知、情報システム、学校、図書館、病院などの効率化を行うことに利用されています。
日本
日本においても一部の地域でスマートシティが導入され始めています。
日本で最も有名なスマートシティは静岡県裾野市にある「ウーブン・シティ(Woven City)」です。
これはトヨタとNTTが主導となるスマートシティで、街を通る道が網の目のように織り込まれたデザインシティとなっています。
この街では、下記が編み込まれた形となっています。
- 車両専用の道路
- 歩行者とスピードが遅い車両が共存する道
- 歩行者専用の遊歩道、
言葉で説明するよりもコンセプト動画を見た方が分かりやすいと思いますので、興味をもたれた方は是非一度 YouTube で検索してみてください。
スマートシティの背景にある技術
では、このようなスマートシティの実現にはどのような技術が必要となりまた利用されているのでしょうか。
大きく分けて3つの技術が重要となってきます。
通信ネットワーク技術とセンシング技術
まず1つ目は、 通信ネットワーク技術とセンシング技術です。
当然、街中をIoTで全てのモノが繋ぐので、高度なネットワーク技術が欠かせません。
現在進行しつつある5Gネットワークはその最有力となる候補です。
また、単にモノとモノをネットワークで繋ぐだけではなく、街中の必要な情報を取得するセンサーも必要です(これをセンシング技術といいます)。
このどちらが欠けてもスマートシティに必要となるIoTを実現することはできません。
IoTで24時間365日街中の情報を取得する必要があるため、安定したデバイスの開発が必要不可欠です。
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分析・予測技術
2つ目は分析・予測技術です。最近話題となっているAI・機械学習・ビッグデータがこれに該当します。
例えば、先に挙げた「信号機を自動で切替える」というシステムでは、IoTによって取得した交通状態データから、信号機をどのタイミングで切り替えるか、という分析・予測をしてやる必要があります。
IoTで取得したデータをAIにより、必要なデータとして加工し、さらに高度な予測を行うということが重要になってきます。
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データの可視化
3つ目は、データの可視化です。
可視化とは、目で見てわかる、という意味です。
1つ目と2つ目で高度な予測をしても、それが専門家やプロにしかわからないようであれば実際に利用することはできませんよね。
専門家でなくてもAIの予想結果が理解できるような可視化技術というのが実は非常に重要になってきています。
あなたもiPhoneやAndroidなどのスマートフォンを利用していると思いますが、直感的に使い方が分かりやすいアプリとそうでないアプリがあるというのはなんとなく経験からわかると思います。
このように人間が直感的に理解できるような可視化技術というのも非常に重要です。
このようにスマートシティとは現代の非常に高度な技術が必要となり、また人間が直感的に使いやすいというアート的な側面も必要とされます。
実現には、広範囲の高度なスキルが必要とされるため、あたなももしかしたら将来スマートシティの開発に携わることがあるかもしれません。
自分の手でドラえもんに出てくるような未来都市を設計することができると考えるとワクワクしますね。
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30代大学教員 アメリカ在住
京都大学大学院修了 博士(工学)