子育て中のママパパであれば「頭が良い子に育って欲しい」と一度は考えたことがありますよね?
そのために、先取り学習や早期教育について調べたママパパもいるかもしれません。今回は小学生の先取り学習についてお伝えします。
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先取り学習とは?
先取り学習は、子どもの在籍する学年より進んだ単元を学習することをいいます。
数ヶ月から1年程度先のカリキュラムを学習することが多いようです。予習の延長的な学習方法といってもよいかもしれません。
初めて先取り学習という言葉を聞いたママパパは、どのような印象を持たれましたか?
「大変そう!中学受験のためにやることでは?」あるいは、「自分の子どもにも先取り学習をさせたい!」と思ったでしょうか。
先取り学習にはメリットとデメリットがあり、やみくもに先取り学習をしても成果が出なかったり、逆効果になってしまうこともあります。
そうならないためには、どうすればいいのか。わが子に先取り学習をする際に、ママパパが考えておくべきことを紹介します。
先取り学習のメリット
先取り学習のメリットの一つは、学校の授業が2度目の学習になるということです。
同じ内容を繰り返し学習することで、理解が深まり、学習の定着率も高まります。勉強がわかるようになることで、子どもの自信も生まれ、学習意欲も高まります。
勉強の得意な子どもにとってもメリットがあります。学校のカリキュラムは平均的な学習能力に合わせてつくられています。しかし、実際には勉強の得意な子どもも、不得意な子どももいます。
勉強の得意な子どもにとって、進行の遅い学校の授業は物足りなく退屈なものとなりかねません。そんな子どもにとって、先取り学習は知的好奇心を満足させてくれます。
先取り学習のデメリット
一方、先取り学習のデメリットもあります。
一つは学校の授業をないがしろにしてしまうことです。本当なら学校の授業は復習の機会となるのですが、先取り学習で一度学んだことが出てくるため、授業に集中できない子どもがいることも事実です。
もう一つは、学校の勉強だけでいっぱいの子どもにとって、先取り学習が過重な負担になることです。先取り学習も学校の授業もあやふやな理解のまま進むと、先々取り返しのつかないことになります。
カリキュラムはこれまで学んだことを理解している前提で、次のステップに進みます。今のステップを理解しないで、先に進んでしまっては何も理解できなくなってしまいます。
子どもの性格や学習理解度をよく観察して、先取り学習の適正を見ることが大切です。塾に任せっきりにしたり、教材を買い与えるだけではいけません。
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長期的に見た先取り学習の弊害
さらに、少し長い目で見た懸念点があります。それは、学年が上がるほど考える力が必要になるということです。問題の解き方を覚えて、それに当てはめるだけの勉強では思考力は伸びません。
考える力がないと小学校の低学年では勉強ができていても、高学年になるとついていけなくなるおそれがあります。考える力をつけるには先の単元に進むことよりも、深く学ぶことが大切です。
たとえば、かけ算の意味がわからないのに、九九を暗記しても意味はありません。先取り学習は、先に進むことに意識がいき、深い理解がおざなりになるおそれがあります。
その単元の本質を理解するには、応用問題を数多く解くことが効果的です。単に答えが早く出せるという満足感以上に、自分で考えて応用問題を解ける喜びは、貴重な学習体験となります。
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効果的な予習のやり方
それでは予習に意味はないのでしょうか?
中学校の数学の授業で行われた、予習についての実践研究があります。
この研究では、予習をすることで生徒から「確かめたいこと」「問い」「疑問」を生み出し、それらを授業で活かすという学習方法が行われました。
問いを生み出すために、予習課題は工夫されています。数学でありながら、試行錯誤をくり返し、文字で自由に表現するようなっています。
授業では予習で生まれた自分の問いを他の生徒に説明し、解決方法を探ります。
この予習と授業の組み合わせた学習方法の結果、生徒は学んだ内容をより確かなものとし、自分の考えを広げることができたと報告されています。
この研究成果は小学生の先取り学習にも活かせそうですね。
*小谷雅彦「「予習」から生まれる「問い」を広げ深める授業の工夫」(滋賀大学教育学部附属中学校研究紀要,第56集)https://shiga-u.repo.nii.ac.jp/
先取り学習するなら考える力を意識しよう
やみくもに先の単元に進む先取り学習には弊害もあります。
単に問題の解き方を覚えるのではなく、自分で考える先取り学習なら、学校の授業にも意欲を持ってのぞみ、深い理解を得ることができるでしょう。
先取り学習はママパパの不安やあせりから始まることが多いようです。
子どもに先取り学習を考えるのであれば、子どもの性格や学習理解度を観察し、目先の成績を上げるより考える力を育めるか吟味することが大切なようです。
【参考文献】
小谷雅彦「「予習」から生まれる「問い」を広げ深める授業の工夫」(滋賀大学教育学部附属中学校研究紀要,第56集)
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30代大学教員
二児の父
京都大学大学院修了
博士(工学)