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筆順はそんなに大事?正しい書き順は存在しないって知ってた?

筆順はそんなに大事?

今、平成29年に改定され、令和2年度から施行された「小学校学習指導要領」の小学校第1・2学年において、「点画の書き方や文字の形に注意しながら、筆順に従って丁寧に書くこと」という文言が新たに付け加えられたことが話題になっています。

多くのママパパは、「私が子どものときも筆順については学んでいたし、今さらでは?」と思っているのではないでしょうか。

そこで、今回は、衣川彰人先生(愛知教育大学教授)の論文「小学校書写における筆順指導の一考察―効果的な「対話」を組み込んだ授業づくり―」に基づいて、筆順が重視されるようになった理由や筆順をマスターするための方策についてご紹介します。

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「正しい筆順(書き順)」は存在しない!

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なぜ筆順を学ばなければならないのか、疑問に思う人は少なくないでしょう。

たしかに、筆順を守らなくても、最終的に出来上がった文字の形さえ正しければ、自分が意図していることを相手に伝えるという文字本来の目的は達成されますから、問題ないような気がします。

そして、実は、そもそも文字の「正しい筆順」というものは存在しません。

昭和33年に当時の文部省が『筆順指導の手引き』を刊行し、その当時教育漢字とされていた881字の筆順を示しましたが、同書には「ここに取り上げなかった筆順についても、これを誤りとするものでもなく、また、否定するものでもない」との断りが入れられています。

書道を嗜んでいる人は既にご存知かと思いますが、事実、硬筆と毛筆とで異なる筆順が推奨されている字もあります。

唯一無二の「正しい筆順」というものは、この世に存在しないのです。

新学習指導要領で筆順が重視されるようになったのはなぜ?

授業中、黒板に答えを書く小学4年生・9歳の男の子

唯一無二の「正しい筆順」が存在しないのにもかかわらず、新学習指導要領において筆順が重視されるようになったのはなぜなのでしょうか。

それはおそらく、教科書に提示された「正しい筆順」が世の中に根深く浸透してしまったからでしょう。

先に取り上げた『筆順指導の手引き』では、筆順を統一することによって得られるメリットとして、「文字を正しく整った形で書くことができる」ことが挙げられていました。

また、『筆順指導の手引き』では、漢字の筆順を統一することは、漢字指導の能率を高め、児童生徒が混乱なく漢字を習得するのに便利であるとされています。

『筆順指導の手引き』の主張は誰もが納得できるものであったため、教育業界に広く浸透し、教科書に「正しい筆順」が提示されるようになり、テスト問題にも「正しい筆順」が取り沙汰されるようになりました。

このように「正しい筆順」が広く浸透した結果、「正しい筆順」を理解していないことは「恥ずかしいこと」とされるようになってきました。

事実、人前で文字を書くことが多い教師などは、「正しい筆順」で文字を書かないと、子どもはもちろん、保護者からも「なんだか信用できないな」と思われてしまいます。

「書は人なり」という言葉がありますが、今や、美しい字が書ければ良い時代ではありません。

「正しい筆順」を守らなければ、どれほど美しい字を書いても信用を獲得できないのです。

そして、パソコン・スマホの普及によって手書きの文字の価値が高まっている今、「正しい筆順」の価値もますます高まってきています。

新学習指導要領において筆順が重視されるようになったのは、このような世相を反映してのことなのでしょう。

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筆順をマスターする方法とは?

息子に勉強を教える母親。

筆順が重視されるようになったとはいえ、唯一無二の「正しい筆順」が決定されたわけではありません。

基本的には今までどおり教科書に提示されている「正しい筆順」を覚えれば良いと思われますが、筆順を覚えることを苦手とする人は少なくないでしょう。

そのような人は、筆順の重要性を「身をもって」理解することからはじめてみてください。

筆順の重要性を理解し、筆順をマスターするために有効な方策としては、「筆を使って字を書くこと」が挙げられます。

古来より日本で使われている漢字やひらがななどの文字は、元来、筆で書かれていたものです。

そのため、筆を使って「とめ」「はね」「はらい」をお手本どおり表現できるよう、一画一画のつながりを意識して字を書けば、筆順の重要性に気づくことができます。

また、筆順を守らなくても字形を整えることが容易な字についても、その字が先頭に置かれている熟語などを縦書きしてみれば、字と字のつながりに気付き、なぜ教科書でその筆順が定められているのか、筆順の仕組みを知ることができるでしょう。

なお、筆順の重要性を学ばせる際には、墨汁を用意せずとも水だけで字が書ける「水書用紙」と大きく字を書くことに適している「太筆」を使うことが有効です。

わが子に筆順をマスターさせたいと考えている人は、水書用紙と太筆を用意し、気軽に筆を使うことができる環境を整えてあげましょう。

筆順(書き順)のまとめ

筆順、書き順

筆順の重要性を理解すれば、「正しい筆順」を一から十まで血眼になって覚えなくても、ある程度予想しながら「正しい筆順」で書くことができるようになります。

わが子に効率的に筆順を覚えてもらいたいと考えている人は、わが子の書き順が怪しい字や一般的に書き順が難しいとされる字をピックアップし、水書用紙と太筆を使って筆順の練習をさせてみてください。

参考文献:小学校書写における筆順指導の一考察―効果的な「対話」を組み込んだ授業づくり―。衣川彰人(愛知教育大学教授)、三浦拓眞。https://ci.nii.ac.jp/naid/40022219619/

この記事を書いたのは

ニックネーム:chopsticks

2児の母。

国立大学教育学部の大学院修了。

教育関連の学術論文を多数読破。

母親目線でわかりやすく学術論文を紹介します。