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「自己有用感に裏付けられた自尊感情」を育むための方策

自己有用感と自尊感情に関する論文

今、人並み以上の能力を持っているのにもかかわらず、自分の存在意義を見出すことができずに苦しんでいる大人が増えています。

しかし、なぜ、彼らは必要以上に思い悩んでしまうのでしょうか。

そのヒントは「自己有用感に裏付けられた自尊感情」の有無にあると言われています。

今回は、久保田愛子先生(宇都宮大学教員)他の論文「小学生の自己有用感に関連する教育方法の検討」に基づいて、小学生の自己有用感に裏付けられた自尊感情を育むための方策をご紹介します。

自尊感情と自己有用感

子供の自己有用感と自尊感情の育み方

自尊感情と自己有用感とは似ている言葉ではありますが、厳密には異なります。

自尊感情とは、自分自身をかけがえのない存在として認め、欠点も含めて自分自身を好きになる感情のことです。

自尊感情を持つことは、他者を自分と同じようにかけがえのない存在として認めることにつながると考えられています。

一方、自己有用感とは、「自分がしたことを感謝されてうれしかった」「自分は頼りにされている」「自分も誰かの役に立っている」など、他者と交流することで得られる自己肯定的な感情のことです。

自尊感情は1人でも持ち得るものですが、自己有用感は他者や集団との関係の中でしか成立し得ません。

重要なのは「自己有用感に裏付けられた自尊感情」

かくれんぼする小学1年生男子

自尊感情と自己有用感とは、どちらか一方があれば良いというものではありません。

もし、他者の存在を完全に無視し、自尊感情ばかりを大きく育ててしまったとしたら、一体どのような人になってしまうでしょうか。

おそらく、自分のことだけを大切に思ってしまい、他者の幸せを望んだり喜んだりすることができない、寂しい人になってしまうでしょう。

一方、自己有用感を育みながらも、自尊感情を育むことを蔑ろにしてしまったとしたら、どのような人になってしまうでしょうか。

おそらく、他の人の役に立とうとすることはできても、自分を大切にすることができないため、自分にとって心から楽しいと思える人生を送ることは難しくなってしまうでしょう。

国立教育政策研究所は、「他者の存在を前提としない自己評価は、社会性に結びつくとは限らず、自己有用感に裏付けられた自尊感情が大切であるとしている」としています。

自分自身が他者の役に立つ存在だと認める自己有用感を持つことにより、自分自身を大切な存在だと思うことができれば、自分の幸せはもちろん、他者の幸せをも願うことができる心が豊かな人になることができるでしょう。

*国立教育政策研究所公式サイト:https://www.nier.go.jp/

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やりがいのある活動が自己有用感に裏付けられた自尊感情を育む

塾の先生とお話しするママ

では、小学生が自己有用感に裏付けられた自尊感情を育むためには、どうすれば良いのでしょうか。

久保田先生は、5つの小学校に通う小学5・6年生281人を対象としたアンケート調査を実施し、自己有用感に最も関連する教育方法が何であるかを検討しました。

久保田先生は、自己有用感を「存在感」「承認」「貢献」「関係性」の4要素、教育方法を「教師の温かい関わりと支援」「やりがいのある学校行事や委員会・係活動の設定」「熱く熱心な教師の指導」「学級の高い規範意識の形成」「友達と関わる機会の設定」の5要素に分解し、相関関係を分析しています。

なお、教育方法の各要素の具体例は、以下のとおりです。

教師の温かい関わりと支援・先生の方から、わたしに話しかけてくれる
・先生は、わたしの話や考えをしっかり聞いてくれる
やりがいのある学校行事や委員会・係活動の設定 ・わたしの学校には、やり遂げてうれしく思う行事がある
・学校やクラスでは、自分たちで考えて、自分たちで行動する活動がある
熱く熱心な教師の指導・先生は、大切なことを守らないときには、厳しく叱ってくれる
・先生は、なんでも一生懸命やるように話してくれる
学級の高い規範意識の形成・わたしのクラスは、ルールを守るクラスだ
・クラスの友達は、みな、先生の言うことをよく聞く
友達と関わる機会の設定・学級活動などで、よりよい学校生活が送れるよう、話し合う時間がたくさんある
・わたしのクラスには、クラスのみんなで遊ぶ時間がよくある

久保田先生の分析によると、自己有用感を構成する4要素は、いずれも「やりがいのある学校行事や委員会・係活動の設定」との関連が大きかったそうです。

この調査結果を応用し、家庭において自己有用感に裏付けられた自尊感情を育むとすれば、以下のような方策が考えられます。

  • 食器を洗うなど、毎日必要な家事のお手伝いをする
  • 旅行の計画を立てる際には、子どもも参加する
  • 集団で1つのことを成し遂げる習い事に参加する

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まとめ

子供のよいところを伸ばす方法

わが子が誰かに必要とされているかけがいのない存在であると自覚し、自信をもって社会に飛び込んでいける大人になるように育てたいのであれば、自己有用感に裏付けられた自尊感情を育むことが大切です。

自己有用感に裏付けられた自尊感情は、やりがいのある活動によって育むことができます。

将来、わが子には多くの人と幸せに暮らせるようになってほしいと考えている人は、ぜひ、今回ご紹介した自己有用感に裏付けられた自尊感情を育むための方策を実践してみてください。

参考文献:「小学生の自己有用感に関連する教育方法の検討」相場雅也 久保田愛子(宇都宮大学 教員)
https://uuair.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=12227&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1(pdf)

この記事を書いたのは

ニックネーム:chopsticks

2児の母。

国立大学教育学部の大学院修了。

教育関連の学術論文を多数読破。

母親目線でわかりやすく学術論文を紹介します。