ロボットと人が普通に会話できるようになる日が来ると言えば、みなさんはどんな気がするでしょうか。
うれしいと言う人もいるでしょうし、なんだかこわいと言う人もいることでしょう。
鉄腕アトムやドラえもんのようなロボットを作ることが目標だった人たちには、夢が実現することになります。
すでに日常生活の中には、人間に代わって機械が作業してくれる場所が、たくさんあるのです。
そして機械には、音声で人間に話しかける機能が、組み込まれるようになっています。
その技術は、私たちが気づかないうちに着実に進歩し続けているのです。
今回は人とロボットの会話についてお話します。
先に今回のお話をすすめていくためのキーワードを紹介しましょう。
「音声認識」、「人間の耳の能力」、「ロボットと向き合う心構え」、の3つです。
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会話するには音声を認識する必要がある
私たちの周りには機械が話しかけてくる場所がたくさんあると言いましたが、これはまだ一方通行です。
人間同士のように会話するためには、まず機械が私たちの言葉を理解しなくてはなりません。
機械に人間と同じような知能を持たせる技術を人工知能といい、その中で人間の言葉を理解させることを音声認識といいます。
人工知能において、音声認識は最も重要な技術の一つです。 最も人間らしい知能とは会話をすることだからでしょう。
私たちはすでに日常的に音声認識の技術を体験しています。 人間から機械に話しかけている場面を見かけることはないでしょうか。
たとえば、今のスマホ(=スマートフォン)やカーナビ(=カー・ナビゲーション・システム)は音声によって質問することができるので、人間が声を出して答えているのを見ることがあるはずです。
たいへん便利な機能ですが、研究がすすむにつれて人間の耳の能力のすばらしさに気づかされるようになりました。
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人間の耳の能力
機械やコンピューターに仕事をさせると、人間より正確にすばやく処理してくれます。
人間の作業にはミスがつきものですし、だんだん疲れたり飽きてきたりするものです。
音声の聴き取りも機械の方がすぐれているように思ってしまいます。
ところが、音声認識の技術を進めていく上で、機械には困難な能力が人間の耳にそなわっていることがわかったのです。
その能力を具体的に説明すると、「選択」、「補正」、「更新」、などになります。
「選択」能力とは、大勢の人たちが話をしている中でも、人間は特定の相手の話声だけを選択して聴き取ることができるというものです。
「補正」能力により、「おはようございます」が「おは( )ござ( )ます」となっても人間は「よう」や「い」を補って聴き取ります。
「更新」能力があるので、人間は相手や自分のまちがいに気づくとその後からは古い記憶を消して、新しい正しい記憶に更新するのです。
これらの能力は人間にとってごく普通のものですが、音声認識の技術にとっての大きな課題となっています。
この課題が克服されたとき、機械は人間よりすぐれたものとなるのではと心配になりませんか。
研究にはしっかりした目的や心構えが必要とされます。
それが無いとフランケンシュタインの過ちを犯しかねません。
会話ロボットとコミュニケーションするぞ
人間と同じように会話するロボットの誕生とはとても神秘的な瞬間ではないでしょうか。
フランケンシュタインの映画では、怪物に命を吹き込むシーンで激しい電気ショックを浴びせます。
手塚治虫さんはアトムの誕生のシーンで、ベートーベンの運命を流しました。
運命の瞬間はもうただの夢とは言い切れないでしょう。私たちにはその時のための心構えが必要です。
アシモフのロボット3原則を継承するならばどのような表現になるでしょうか。
- 人間を傷つける表現をしないこと。
- 人間の話すことを正しく聞き取って理解すること。
- 常に学習し続けて言葉が乱れないようにすること。 などとなることでしょう。
「会話ロボット」まとめ
以上のように、ロボットが人と普通に会話する日についてお話しました。
ロボットが会話できるようにするための技術と人間の耳の優秀さについて理解していただけたことでしょう。
会話するとはどういうことなのか考えるきっかけにもなれば幸いです。
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