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STEAM教育のテクノロジー(技術)とエンジニアリング(工学)の違いとは?

Steam教育

STEAM教育という言葉を良く聞くようになりました。

STEAMというのはサイエンス(Science・科学)のS、テクノロジー(Technology・技術)のT、エンジニアリング(Engineering・工学)のE、アート(Art・芸術)のA、マセマティックス(Mathematics・数学)のSを並べた造語です。

その一環として、小学校でプログラミングの授業が始まりまっています。

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STEAM教育のはじまり

STEAM教育の歴史は古く、1950年代後半のアメリカで科学と数学教育の重要性が論じ始められました。

当時はアメリカとソ連の冷戦時代でしたが、ソ連が世界初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げるなど、科学分野ではアメリカを一歩リードしていました。

脅威を感じたアメリカは国策として、理系教育の強化を打ち出しました。

この成果でアメリカは世界で初めて人類が月面に立つことに成功するのですが、その後は現在ほど理系教育が重視されることがなくなっていました。

再び理系教育の重要性が話題になるのは1990年代後半。デジタル化により、科学や数学が持つ国際競争力が再認識されることとなりました。

鳴門教育大学・胸組虎胤教授によると、STEAM教育の前身と言えるSTEM教育という言葉は、2001年にアメリカ国立科学財団のジューディス・ラマレイ博士によって命名されたとしています。

その後、理系の論理的思考だけでなく、創造性も重要ということでアート(芸術)が加わってSTEAM教育となったわけです。(1)

そして、2011年にオバマ大統領が一般教書演説でSTEAM教育の重要性を説き、注目されることとなりました。

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STEAMの区分は?

続いてSTEAM教育の区分ですが、サイエンス(科学)、アート(芸術)、マセマティックス(数学)はイメージできても、テクノロジー(技術)とエンジニアリング(工学)の違いは少しわかりにくいかもしれません。

一言で説明すると、サイエンス(科学)が体系化された理論であるのに対して、テクノロジー(技術)とエンジニアリング(工学)はともに科学を実用化するための方法です。

日本国語大辞典によると、テクノロジー(技術)は「科学の理論を実際に応用し、自然を人間生活に役立つように利用する手段」で、エンジニアリング(工学)は「工業に役立てることを目的として、自然科学的手法を用いて、新製品、新製法、または新技術を研究する学問」となっています。

たとえば、月ロケットを打ち上げるとします。

ニュートンが微分方程式をつくりましたが、これはマセマティクス(数学)です。

そして、リンゴや月の動きを、微分方程式を用いて明らかにしたのが、物理法則F=maです。これはサイエンス(科学)です。

そして物理法則を使って、ロケットをどのくらいの速度でどの方向に発射するのかを求めるのがエンジニアリング(工学)です。

さらに、ロケットをどのような材質、製造方法でつくれば良いか考え実現するのが、テクノロジー(技術)です。

いかがでしょうか?少しイメージしやすくなったかもしれません。

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STEAM教育、日本の現状

STEAM教育の概念にも幅広い解釈があります。

胸組虎胤教授は教育機関におけるSTEAM教育の定義は多数あり、STEAMの科目をそれぞれに教育するという見方、各教科を関連づけて教育するという見方、各科目を統合的に教育する見方があると述べられています。(1)

日本ではSTEAM教育どのように考えられているのでしょうか?

文部科学省のHPによると「STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)に加え、芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲でAを定義し、各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科等横断的な学習を推進しています」ということです。(2)

理系科目やプログラミングの学習は大切ですが、その知識や論理的思考をベースに、課題を発見し、解決する知力を高めることがSTEAM教育の本質と言えそうです。

STEAM教育の課題・問題点

最後に、そんなSTEAM教育の課題についても話しておきましょう。

一番の課題は、STEAM教育が現在の受験方法に対応していないため、授業方法が確立されていないという点です。

さらにプログラミングを教えることのできる先生は不足していますし、STEAMを横断して教えるには高いスキルが求められるという問題もあります。

このようにSTEAM教育は手探りの中、それぞれの教育現場で進められているのが現状です。

そのため、保護者のSTEAM教育への理解が大切だと言えるかもしれません。

経済産業省では「未来の教室・STEAMライブラリー」として、公式サイトで様々なSTEAM教育のコンテンツを無料公開しています。

このようなツールを通して、STEAM教育を実感してはいかがでしょうか。(3)

AIの普及により、多くの仕事がなくなる一方、新しく生まれる仕事もあると考えられています。

AIによる激しい社会変化に対応するには、社会人もリスキリング(学び直し)が必要になっています。その中心は理系のスキルです。

STEAM教育を推進したオバマ大統領は国民に向けたメッセージの中で、次のように呼びかけています。

「ビデオゲームを買う代わりに、自分で作ってみよう」(4)

子どもと一緒にSTEAM教育を楽しみながら、AIに使われるだけでなく、AIを使う側になっていきたいものです。

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参考文献
(1)「STEM 教育と STEAM 教育-歴史,定義,学問分野統合-」鳴門教育大学研究紀要 第34巻 2019
(2)https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/mext_01592.html
(3)https://www.steam-library.go.jp/
(4)https://www.youtube.com/watch?v=6XvmhE1J9PY

この記事を書いたのは

大学の先生

30代大学教員 あっ君パパ

京都大学大学院修了 博士(工学)