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もくじ
デザイナーベビーとは?
あなたはデザイナーベビーという言葉を聞いて何を思い浮かべますか?
ベビーといってもデザイナーの「卵」という意味ではありません。
デザイナーベビーとは、ベビーをデザインする、つまり産まれる前(厳密には受精卵の時)に遺伝子を操作することにより理想とする体力、知力、容姿を持った胎児を作り出すことです。
産まれてくる子供の特徴をデザインするかのようであるため、デザイナーベビーと呼ばれています。
ヒトの遺伝子操作は1990年代から研究が進んでおり、元々は産まれてくる子供の遺伝的な病気のリスクを減らすためのものでした。
しかし、近年では疾病の回避に加え、思い通りの見た目や知能を持った子供を産むために遺伝子操作を行う研究が進んでいると言われています。
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デザイナベビーはどうやって作られる?
デザイナーベビーは、遺伝子を操作して作られます。
人間の髪の色、身長、病気の有無等の身体の情報は遺伝子に基づいて構成されます。
その遺伝子はDNAという身体の設計図のような物に記録されています。
設計図を変えること、つまりDNAを操作すると遺伝子を変えることができ、病気の回避や身体的特徴(背の高さ、髪の色等)の変更ができます。
誤解を恐れずに言えば、ゲームを開始する時に自分の好みに合ったキャラクターを作ることと近いと言っても良いでしょう。
メリットは病気や障害のリスクを減らせること
デザイナーベビーの最大のメリットは、産まれてくる子供の遺伝的な病気や障害のリスクを遺伝子操作によって減らせることです。
実は、現在の日本の妊婦検診でもデザイナーベビーに似たようなことが行われています。
すべての妊婦さんは、希望に応じて出生前検査を行うことができます。
この検査では、胎児の遺伝子を調べることによって、内臓の形の異常や染色体異常(例えばダウン症の有無など)を出生前に知ることができます。
この検査では実際に遺伝子操作を行っているわけではありませんが、疾病を持った子供を産むか産まないか、つまり極端なことを言うと自分が思っている通りの子供を産む選択をすることになるので、ある意味でデザイナーベビーと似ていることをしていると言えるかもしれません。
もちろん出生前検査を受けずに、どんな子供が産まれても受け入れる女性も多くいると思います。
検査を受ける方の中には様々な事情があるようですが、例えば家庭の金銭的な事情等により子供の病気の治療額の負担が難しいと言う理由で受ける女性もいますよね。
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デザイナーベビーの問題点
上記のように受精卵の遺伝子操作をすることによってある程度自分の理想とする子供を作ることができます。
しかし、実はデザイナーベビーについてはまだまだ数多くの問題点が存在します。
人体実験を行っている
まず一つ目の問題点は、遺伝子操作自体にはまだまだ未知であることが多いため、多くの科学者や医師からはデザイナーベビーを出産すること自体が人体実験を行っていることと同じではないかという指摘があります。
倫理的な問題
次に、デザイナーベビーそのものをビジネスとして行うことに強い倫理的抵抗を覚える人もいます。
貧富の格差拡大
さらに、お金があればあるほど、理想の知力や容姿を手に入れられるのは不公平であり、富裕層と貧困層の格差をより広げることになるのではないかと指摘する専門家もいます。
法律の不備
最後に、ヒトの遺伝子操作は新しい技術であるため、これに関する法律が整っていないのも事実です。
デザイナーベビーは人間の命や人生が関わっている技術であるため、一刻も早く国際的な法的規制をするべきとの声も上がっています。
一方で、国ごとに法的な規制ができた場合であっても、ある国がデザイナーベビーを許可してしまうと、その国に旅行しデザイナーベビー手術を行うことが結局可能になってしまいます。
国ごとの格差
また、デザイナーベビーは倫理的に問題点が数多くある一方で、デザイナーベビーにより国内で非常に優秀な才能を持った子供が多く生まれるというのは国にとってもメリットである、というジレンマも存在します。
デザイナーベビーの将来展望
デザイナーベビーの技術が日々発展し、科学の力で産まれてくる子供たちの病気のリスクを事前に下げることができるようになっていること自体は良いことではあります。
しかし、病気以外の知力や容姿などの遺伝的特徴を操作することによって、様々な懸念がされているのも事実です。
まだまだ未知の部分が多い技術であるということもありますし、成長した子供の容姿や知力が親が望んでいるものではなかったらどうするか、という問題もあります。
親たちのパーフェクトな子供を産みたいと言う欲求を逆手に取った遺伝子操作のビジネスが拡大しつつあるのも事実です。
どこまでを遺伝子操作して良いのかと言う線引きが難しい一方で、今後の社会の発展において重要なテクノロジーであるのは間違いありません。
今後の技術発展に注目しておきましょう。
30代大学教員 アメリカ在住
京都大学大学院修了 工学博士
