今回はノーベル賞を受賞すると儲かるのか、についてです。
ノーベル賞を受賞するとお金持ちになれると思いますか?
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ノーベル賞とは?
ノーベル賞とは、世界で最高の研究をした科学者に贈られる賞で、医学生理学賞・物理学賞・化学賞・経済学賞・文学賞・平和賞の六部門が存在します。
ノーベル賞は非常に歴史と伝統が長く、なんと1901年からスタートしています(ノーベル経済学賞のみ1968年設立となっています)。
科学者にとってはノーベル賞を取ることは最高の栄誉と考えられており、ノーベル賞発表時期になるとテレビやインターネットなどのメディアが「今年は日本人が受賞できるのか」と躍起になっているのは小中学生のみなさんもご存知かと思います。
ちなみにノーベル賞を受賞した人数が多い国を順番に挙げると、アメリカ合衆国、イギリス、ドイツ、フランスの順になっています。日本は世界第7位でこれまで29人(2018年時点)が受賞しています。
ノーベル賞を受賞する学者の出身大学は京都大学が最も多く、ついで東京大学となっています。
賞金はいくらもらえるの?
さて、話が本題に入りますが、皆さんノーベル賞を受賞するといくらもらえるかご存知でしょうか。
なんと、ノーベル賞を受賞するとおよそ1億円貰うことができるのです。
しかし、最近ではノーベル賞を複数人で受賞することが多く、その場合は1億円を山分けすることになります。
また国によっては賞金の納税義務があるため、実際にはこの賞金から税金が引かれることになります。
そのため国によってはノーベル賞を受賞しても、実際にもらえるのは3000万円から5000万円程度でしょうか。
ただし、日本の場合はノーベル賞は非課税となるため、賞金を丸々もらうことができます。
この賞金を見て、多いと思うでしょうか、それとも少ないな、と感じるでしょうか。
ちなみに、ノーベル賞はおよそ1年間で大体6~10人ほどが受賞します。
そのためノーベル賞を受賞するためには、科学分野でトップ6人になる必要があるわけです。
科学者は世界で大体780万人ほどいますので、トップ6人になるということは、およそ百万人に1人ぐらいのレベルになるということです。
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ノーベル賞学者と野球選手の収入を比較してみよう
では科学者の人数と大体同じである野球の競技人口を例にとって、収入を比べてみましょう。
世界での野球の競技人口は2012年時点で1000万人と言われています。
この中でプロ野球選手のトップ6人がどれぐらい稼いでいるか見てみましょう。
2018年に最も年棒を稼いだ選手はマイク・トラウト選手でおよそ40億円にもなります。
これは生涯年収ではなく、あくまで1年間に稼いだお金です。
6位のジャスティン・バーランダー選手では、そこから少し下がっておよそ30億円です。
もちろんここから税金や様々な費用を割り引くことになりますが、野球選手の方が科学者よりもよっぽどお金を稼いでいることがわかるでしょう。
特にこの数字は年棒の金額なので、生涯年収に直すともっと大きな差が生じます。
これま でメジャーリーガーで最も生涯賃金が高かったのは、アレックス・ロドリゲス選手でおよそ430億円です。
もちろんノーベル賞を取るような科学者の場合、講演会や書籍執筆などでそれなりの収入が期待できますが、それでも年収、生涯賃金共にプロ野球選手には遠く及びません。
このように科学者はたとえノーベル賞をとるような人材であったとしても大きな収入を得ることは簡単ではありません。
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科学者は大金を動かすことができる
一見すると、科学者はあまりお金が儲かる仕事ではないな、と思われるかもしれません。
しかしながら、科学者の年収ではなく科学者が使えるお金に着目すると少し話は変わってきます。
科学者は研究する際に研究予算というものをもらって研究を行います。
例えば、日本全体では研究開発費の総額がおよそ18兆円となっています。
世界で最も研究にお金を投資しているアメリカの場合は、驚く事に50兆円、世界全体では180兆円にも達します。
日本の科学者の1人あたりの研究費は1年で2000万円となっています。
この数字はあくまで平均値ですが、宇宙開発の研究予算にもなると数千億円を利用することはざらにあります(もちろん1人で使えるお金ではありませんが)。
そのため、収入という意味でいうとスポーツ選手に負けてしまいますが、実際に自分が研究に使えるお金という意味でいうと、スポーツ選手よりもずっと大きなお金を動かすことができます。
iPS細胞の山中伸弥先生のケースをみてみよう
例えば、2012年にノーベル生理学医学賞を受賞した山中伸弥先生の場合。
山中先生がノーベル賞を受賞した事により、日本政府は再生医療研究に1100億円もの莫大な資金を投資することを決めました。
このようにノーベル賞受賞者自身がお給料としてもらえるわけではありませんが、自分が研究に使えるお金というのは、スポーツ選手よりもずっと多い金額になっていることがわかります。
スポーツ選手のように自分のお給料として莫大な金額をもらうのも良いですが、科学者のように自分の好きな研究に莫大な投資をしてもらい社会に貢献する、というのも素敵なことだと思います。
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30代大学教員 アメリカ在住
京都大学大学院修了 博士(工学)