数学が得意な子供はチャレンジしよう。
好成績を残すとメリットが大きいよ!具体的にどんな良いことがあるのか、についても京大卒の工学博士が解説します。
数学オリンピック財団公式サイト:https://www.imojp.org/
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数学オリンピックとは?
皆さんは数学オリンピックというものを聞いたことがあるでしょうか?
オリンピックは通常、スポーツ競技などの祭典として非常に有名です。
ところがオリンピックが、スポーツだけではなく数学のような科学分野においても存在するというのはご存知だったでしょうか?
もちろんオリンピックの本当の起源はスポーツ競技ですが、オリンピックのような各国が競い合う大会の場として数学オリンピックの場が設けられています。
他にも、物理オリンピックや化学オリンピック、情報オリンピック、地学オリンピックなど非常に多数のオリンピックが存在します。
*国際科学技術コンテスト公式サイト https://www.jst.go.jp/cpse/contest/
数学オリンピックは毎年高校生を対象にして行われており数学の問題を解く能力を競う国際大会となっています。
*中3以下はジュニア数学オリンピックに出場可。
*小学生は算数オリンピックに出場可。
*小1~小3はキッズBEEに出場可。
テストは二日間行われ出場者は一日4時間半かけて3問ずつ挑戦します。
各問題は7点満点で採点され、満点は42点です。
採点の結果、上位1/12の参加者には金メダル、次の2/12には銀メダル、次の3/12には銅メダルが授与されます。
出題範囲は国際バカロレアの基準による高校2年生程度までとなっており、具体的には、代数(Algebra)、幾何図形(Geometry)、組み合わせ(Combination)、整数・数論(Number)から出題されます。
数学オリンピックではこれらの頭文字をとって、A, G, C, Nの問題と呼ぶことが多いです。
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数学オリンピック(世界大会)に出場するには?
では、数学オリンピックに出場するためには何をすればよいのでしょうか?
実は数学オリンピックに出場するためには、まず日本国内の代表選手の予選大会(日本数学オリンピック、通称JMO)を勝ち抜き、上位6名に入る必要があります。
毎年、数千人の小中高生がこの大会に参加するので上位6名というのは非常に難関であるといえます。
代表選手の予選大会に進むにはまず、各都道府県で行われる予選に参加し、その後、本選、代表選考合宿に選抜され、更に勝ち残る必要があります。
各都道府県の予選は1月に行われ、毎年4000人程が参加しています。
ここで4000人から100人程度が選ばれます。
本戦は2月、代表選考合宿は3月に行われ、合宿では上位20名のみが参加でき、その中からさらに6名を選ぶ形になります。
いくつもの予選を勝ち抜き、残った6人はようやく世界大会(数学オリンピック、通称IMO)に参加ができるきっぷを手に入れ、7月に開催される世界大会に参加できます。
合宿や世界大会参加の費用は、すべて数学オリンピック財団が負担してくれるので、うまく世界大会に参加できれば無料で海外に行くことができます。
ゲーム感覚で楽しく学べる
数学オリンピックの問題はどれくらい難しい?
では、数学オリンピックの問題はどれくらい難しいのでしょうか?具体的な問題は、過去問を5年分まとめた書籍があるので興味のある方はご覧になってみると良いでしょう。
*数学オリンピック財団の公式サイトでも問題を観ることができます。https://www.imojp.org/archive/challenge/index.html
難易度としては、予選レベルでも難関大学の受験問題と同じか、それより難しいレベルです。そのため、数学オリンピックの勉強を大学の受験対策として勉強する人も中にはいます。当然、本戦となると予選を通過した人が参加するため、問題の難易度は予選よりも難しいです。
一人でここまで数学の力を伸ばすのは簡単ではないため、数学専門の塾や数学オリンピック通過の実績の多い塾で情報交換をする方が多いようです。それにしても、このような難解な問題を高校生または中学生で解ける人がいるというのが驚きですね。
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小学生は算数オリンピックに出場できる
数学オリンピックは、主に高校生以下を対象にした数学の大会です(なかには中学生で好成績を収める人もいますが、非常にまれです)。
一方で、小学生が参加できる大会として算数オリンピックというものも存在します。
ただし、こちらは世界大会ではなく、あくまで日本の大会で、小学6年生以下を対象とする算数オリンピックと小学5年生以下を対象とするジュニア算数オリンピックに分かれています。
さらに小学1~3年生以下を対象とした算数オリンピック キッズBEEという大会も存在します。
最近ではこれらの大会の問題と解説がYoutubeなどで気軽に見られるようになっているので、興味のある方はぜひ御覧になってください。
小学1年生~小学3年生対象の「キッズBEE」の過去問をやってみよう。
下の図は遊園地にあるコーヒーカップ全体を上から見たものです。
赤色の円はカップです。
紫色の円は回転台で、それぞれに4つのカップがのっています。
緑色の円は全体台で、4つの回転台がのっています。
それぞれのカップ、回転台、全体台が回ります。
20秒で、全体台が地面に対して矢印の方向に1周、回転台が全体台に対して矢印の方向に1周、カップが回転台に対して矢印の方向に1周します。
いま、ピーターくんは、●のついているカップに西の方向を見てすわっています。
[とい1]15秒後にピーターくんがすわっているカップを黒くぬりなさい。
[とい2]15秒後にピーターくんが見ている方向は、東、西、南、北のどれですか。算数オリンピック委員会より引用https://www.sansu-olympic.gr.jp/past-question/114/
外部サイト 答えはこちら(算数オリンピック委員会)
数学オリンピックに出るとどんなメリットがあるの?
話は数学オリンピックに戻ります。
実は、大学への飛び級入学や大学入試の推薦時に数学オリンピックの成績を活用できる場合があります。
仮に数学オリンピックの世界大会に出場できなかったとしても、本戦を勝ち抜いた後の合宿に参加できれば、成績を活用し、大学の推薦入学を得られることがあります。
現時点で日本では10校程の大学で活用でき、その10校は東京大学、京都大学、早稲田大学といったような有名校ばかりです。
もし皆さんの中で数学または算数が得意な人がいたら、ぜひ一度数学オリンピックについて調べてみるとよいでしょう。
好きこそものの上手なれということわざがある程ですので、好きなことを極めれば、トップを目指すことも難しくないかもしれませんよ。
参考:平成28年度推薦入試学生募集要項 – 東京大学 https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400029114.pdf(PDF)
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30代大学教員 アメリカ在住
京都大学大学院修了 博士(工学)