もくじ
シミュレーション仮説とは?
皆さんはシミュレーション仮説という考え方をご存知でしょうか?
シミュレーション仮説とは、人類が生活しているこの地球や宇宙は、すべてコンピュータシミュレーションの一部であるとする仮説のことです。
つまり、我々の世界は、何らかの高度な文明が作ったコンピュータシミュレーションのなかの世界である、という説です。
もちろんこの仮説はまだ証明されていませんので、これが事実というわけではなく、あくまで可能性の1つです。
しかし、あの有名なテスラ・SpaceXの創業者として有名なイーロン・マスクもこの説に賛成していることもあり、シミュレーション仮説は近年注目されています。
3つの可能性
シミュレーション仮説は、もともとは哲学者のニック・ボストロムという人が提唱した理論で、わかりやすくいうと、この世の中は3つの可能性があるという考え方です。
- 知的種族は、現実と区別がつかないほど現実性のあるシミュレーションを開発できるほどの技術レベルには到達できない
- そのようなレベルに達した種族は、そのようなシミュレーションを実行することに興味がない
- 知的種族は、実際にたくさんのシミュレーションを実行しており、シミュレーションではない現実世界よりもずっとたくさんのシミュレーション世界が存在する
1、2の場合は、私達が存在する世界はシミュレーションではない現実世界であるということになりますが、3の場合、私達が存在する世界はシミュレーションの世界である可能性が非常に高いということになります。
わかりやすく解説すると…
この考え方は、非常に突飛な考えのように感じるかも知れませんが、ゲームを例にとってみるとこの考えはそんなに突飛でないことがわかります。
Pongという卓球のゲームを例に取ってみましょう。
このゲームは40年前に発売された卓球ゲームで、画面の両サイドに棒があって、プレイヤー二人で動かしてボールを弾きあう、ボードゲームのようなシンプルなゲームでした。
しかし、今では超リアルな映像で同時に多人数でプレイするゲームに進化しています。40年前は、誰がそのような未来を想像できたでしょうか。
このようにたかが40年前でも想像できなかったことを人類は成し遂げる場合があります。
そのため、100年後には世界がシミュレーションできるゲームが発売され、そのゲームの住人が人間のように意識を持ったとしてもおかしくはないかもしれません。
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シミュレーション仮説が正しいと証明するには?
では、このシミュレーション仮説を正しいと証明するためにはどのような方法があるのでしょうか?
現時点で、この証明方法は大きく分けて3つ存在すると考えられています。
バグをみつける
1つ目は、シミュレーションのなかのバグをみつけるという方法です。
皆さんも利用されているパソコンやスマホにはほぼ必ずバグが存在します。そのため、もしもこの世界が現実世界ではなくシミュレーション世界なら、どこかにバグが存在するかも知れません。
このバグを見つけることで、この世界がシミュレーション世界であるということを証明することができるかもしれません。
イースターエッグをみつける
2つ目は、イースターエッグをみつけるという方法です。
イースターエッグとはゲーム用語で、ソフトウェアの開発者がソフトやゲーム内にこっそりと隠してあるメッセージのことです。ゲームの場合、特殊な行動やコマンドを入力することでこういったイースターエッグを発見できるようになっていることが多いです。
もしもこの世界がシミュレーション世界なら、開発者がどこかにイースターエッグを隠してあるかも知れません。
円周率パイやネイピア数は私達の世界では特殊な数字として有名なので、このなかにメッセージが隠されているのではないかと考えている人もいます。
シミュレーションの処理能力の限界をみつける
3つ目は、シミュレーションの処理能力の限界をみつけるという方法です。
もしもこの世界がシミュレーション世界なら、この世界をシミュレーションしているサーバーのようなものが存在するはずです。そして、私達の世界の常識で考えると、サーバーの能力というのは無限ではないため処理能力の限界が存在するはずです。
そのためこの限界を超えるような処理をすることで、シミュレーションが処理落ちしたり、サーバーが不具合を起こすかも知れません。
そうすると、この世界がシミュレーション世界であることを証明できるかも知れません。
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「シミュレーション仮説」まとめ
皆さんはこの世界がシミュレーション世界だとしたらどうしますか?
この世界の成り立ちは宗教観の根幹とも関わってくるため、シミュレーション仮説は非常に重要な問題であると考えられています。
そして、もしもこの世界がシミュレーション世界なら、死んだ人を生き返らせたり、人に様々な能力を付与することもできるかもしれません。
このように未来は可能性が無限大です。皆さんがプログラミングを勉強することで、シミュレーション仮説の解明をできたりするかもしれません。
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参考文献:https://www.vox.com/future-perfect/2019/4/10/18275618/simulation-hypothesis-matrix-rizwan-virk
30代大学教員 アメリカ在住
京都大学大学院修了 博士(工学)