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数字の0(ゼロ)は、いつ生まれたの?

ゼロの発見

1日に何回、数字を使いますか?学校に行く時間を確かめる、出席人数を調べる、買い物をしてお金を払う、エレベーターで降りる階のボタンを押す。数字なしで一日を過ごすことは考えられませんね。

こんなに当たり前に使っている数字ですが、その中には不思議な数があります。それは何もないことを意味する0(ゼロ)です。

数字は約5000年前に生まれましたが、0(ゼロ)だけはその何千年も後に誕生します。その理由は何でしょうか?0(ゼロ)にまつわる話をご紹介します。

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数の誕生

大昔、とらえた動物や魚の数を数える必要が生まれました。数字のない時代は、縄の結び目をつくったり、動物の骨に線を引いたりして数を数えていました。

その後、今から約5000年前の古代文明で、文字や数字が誕生します。メソポタミア文明で生まれた人類最古の数字のひとつは、くさびのようなかたちだったので、くさび形文字と呼ばれ、粘土板や石碑に残されています。

その頃の数字は、存在する物を数えるために使われたので、ゼロの必要ありませんでした。

その後、世界中でさまざまな文明が誕生し、それぞれで数字が生まれました。日本でなじみ深い数字もあります。

ローマ文明ではⅠ、Ⅱ、Ⅲといったローマ数字が発明しました。中国文明では骨甲文字が誕生し、後に、一、二、三という漢数字になっていきます。

しかし、まだゼロはありませんでした。空位を表わす数字、たとえば2023という数字の百の位の0を表す記号はあったものの、ゼロ=何もないという概念はありませんでした。

ヨーロッパでゼロが生まれなかった理由

古代ギリシャには三平方の定理(ピュタゴラスの定理)を発見したピュタゴラスや、哲学者アリストテレス、円周率を考えたアルキメデスなど、歴史に残る賢人たちが現れ数学や哲学が発展しましたが、ゼロは誕生しませんでした。

その理由として、数学が川の氾濫による土地の再計測を行う幾何学として発展してきたことがあります。土地を計測するために、ゼロは必要ありませんでした。

もうひとつの理由として、宇宙に真空や無はないという彼らの宇宙観がありました。この考えは、神は全知全能であり、無は存在しないという宗教観とも結びつき、長くこの地を支配しました。

その結果、無=ゼロという考えは禁止され、数学や科学の発展は滞ることになりました。

0(ゼロ)の誕生

西暦7世紀頃のインドで、ついにゼロが誕生します。数字が生まれてからゼロが発明されるまで、5、6千年もかかったことになります。

なぜ、インドでゼロが生まれたのでしょう。

インドでは幾何学ではなく筆算が盛んで、ゼロが必要になったという理由もありますが、宗教観として無という考え方を受け入れていたからとされています。

宗教が科学に影響を与えた例として天動説が有名ですが、ゼロの発見にも宗教の影響がありました。

今、生成AIが注目されていますが、ヨーロッパでは創造主は神だけという考えから、人間を超えるAIへの規制が強いという意見があります。

インドからヨーロッパに伝わったゼロは、禁止されてもその便利さから市民に広がっていきました。

便利なものを規制することは困難です。AIの悪用に対する規制は必要ですが、便利なものは広がるという歴史を参考に対処する必要があると思います。

インドと数学

数字のおもちゃ

私たちが使用する0、1、2・・・をアラビア数字と言いますが、その発祥もインドです。

インドから西アラブに渡り、その後、ヨーロッパに伝わりました。アラビア人から教わった数字だったため、ヨーロッパでアラビア数字と呼ばれることになりました。

アラビア数字も世界中に広がっていきますが、それはゼロと同じように便利だったからです。

アラビア数字は10個の数字でどんな大きな数も書くことができます。書くのも、読むのもかんたんです。数の大きさがわかりやすいことも特長です。

たとえば日本の人口を漢数字で書くと、一億二千四百五十万人ですが、アラビア数字だと124,500,000人です。アラビア数字の方が使いやすいことがわかりますね。

ゼロやアラビア数字を発明したインドは、数学が得意な国と言えるかもしれません。

日本では掛け算の九九を習いますが、インドでは20段までの掛け算を暗記するそうです。インド式計算法という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

二桁の掛け算をいくつかのパターンで、スイスイと解いていく方法です。19×19なら数秒で答えが出ます。

パターンを学べば日本人でも計算できますが、こんなパターンを考え出すところは、やはりインド人は数学が得意なのかもしれません。

ゼロは人類にとって大きな一歩

ゼロの発見

さて、ゼロが生まれて何が変わったのでしょうか?身近な話では、2000年1月1日、21世紀の始まりとしてさまざまなイベントが世界中で開催されました。

しかし、本当はこの日は20世紀最後の年の始まりでした。西暦ができた時にゼロという考えがなく、西暦1年から始まったために起こったことです。

今では人間が生まれた時の年齢を0歳と呼ぶので、生きた年数を間違えることはありません。

ゼロという概念が生まれて、「空間内の位置を表す座標」「運動と変化を理解する微分・積分」「コンピュータの基礎となる二進法」「天体が互いに引力を打ち消しあう空間内の位置計算」など、数学や物理学の発見がありました。

これらを使って、宇宙にロケットを飛ばすまでに科学は発達しました。ふだん何気なく使っている0(ゼロ)ですが、この発明は人類の歴史にとって大きな一歩だったのです。

【参考文献】
(1)チャールズ・サイフェ著・林大訳「異端の数ゼロ」(早川書房,2009年)
(2) 監修・中村滋「ずかん 数字」(技術評論社,2019年)
(3)監修・和田純夫「ニュートン式超図解 最強に面白い!!無」(ニュートンプレス,2020年)

この記事を書いたのは

大学の先生

あっくんパパ

30代 博士(工学)

京都大学大学院修了

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