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ABC予想とは?中学生にもわかるように簡単に解説します。

ABC予想とは?

今回は先日、証明が正しいことが明らかになったABC予想についてご紹介いたします。

ABC予想とは?

ABC予想を研究する数学者

数学の世界ではまだ解かれていない問題を○○予想と呼び、日々世界中の数学者が証明をしようと躍起になっています。

つい最近までABC予想も証明されていませんでしたので、この文章においてもABC予想と呼ぶことにします。

それではABC予想とはどのような予想なのでしょうか?

少し難しい部分もあるかもしれませんが、無理やり1文で説明すると下記のようになります。

「a+b=cが成り立つ自然数a, b, cに対して、abcの積の素因数を考えると、数(a, b, c)はいくつかの組み合わせしか存在しない」

これだけでだと少し意味がわからないかもしれませんので詳細に説明します。

a+b=c

となるような互いに素な自然数を考えます。

ここで互いに素とはa, b, cの最大公約数が1であるということです。

例えば、a=2, b=4, c=6を考えると、これらは2という共通の約数が存在するため「互いに素」ではありません。

一方で、a=3, b=7, c=10は「互いに素」を満たします。

このときa, b, cの素因数の積abcを考えます。

例えば、a=2, b=3, c=5の時はabc=30となります。

このabcをdとすると、d=30となります。

このdを、任意の実数κ(κ>1)で累乗します。

このときdはa, b, cの積であるため、dはa, b, cのどの数よりも大きくなると考えられますが、まれにdがcよりも小さくなってしまうことがあります。

ABC予想とはこのようなa, b, cはまれにしか存在せず、実は数える程度の組み合わせしか存在しないのでは無いか、という予想です。

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ABC予想を具体例で理解してみよう

京都大学博物館を見学する親子連れ

では具体的に例を挙げてみましょう。

例えばa=2, b=7, c=9の組を考えてみます。これらは互いに素であることに注意しましょう。

このとき、d=2 x 7 x 3 = 42となります。dはa, b, cの素因数の積であることがポイントです。9の素因数は3です。

出てきたd=42をκの範囲で累乗してみると、例えばκ=2のときは42^2=1764となり、明らかにc=9より大きくなります。

では次にa=1, b=8, c=9の組み合わせを考えてみましょう。

8の素因数は2, 9の素因数は3ですので、d=1 x 2 x 3 = 6となります。

この時、d<cとなることがわかります。次にdをκの範囲で累乗してみます。

例えばκ=2のときは6^2=36となります。これは当然d>cですよね。

しかし、κ=1.2のとすると、6^1.2=8.58…となり、d<cとなります。

このようにκ>1のときに1つでもd<cとなる組み合わせがあるかどうか、がABC予想のポイントです。

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ABC予想の証明って何がすごいの?

数学は宇宙

上記のようにABC予想とは数学的な内容自体の理解は小学生・中学生でもじっくりと考えれば理解できるものです。

しかしながらこの証明は非常に難解で、1985年に予想が提案されて以降、解決することができていませんでした。

そんな中、京都大学の望月新一教授が宇宙際タイヒミュラー理論(IUT理論)という独自に考案した手法を用いることでこの証明を発表しました。

なんと600ページにも及ぶ論文(もちろん全て英語)で、論文が正しいことを確認する作業に7年半もの月日がかかりました。

しかも、この理論を理解するためには望月教授の過去の論文も併せて読む必要があり、実際には1000ページ以上の論文を読む必要があります。

この論文は驚くほど新しい手法で証明されているため、数学の研究者や整数論の専門家であっても理解できる人は非常に限られているそうです。

世界中で数十人理解できる人がいるかどうか、と言われています。

この論文が正しいかどうかをチェックするのがいかに大変なことかわかるでしょう。

このように証明自体も非常に難解で全く新しいアプローチが必要になりました。

ABC予想がさらにすごいのは、この予想を使えば他のさまざまな数学の難問が一気に解決するとされている点です。

具体的には、スピロ予想やフライ予想、ボイタ予想などの様々な予想が全て解決するのではないかと考えられています。

なんと証明に350年以上かかった有名な「フェルマーの最終定理」ですら、ABC予想を発展させるとたった数ページで証明することができてしまいます。

このようにABC予想が今後数学界に与える影響は非常に多いと考えられています。

ちなみにこの「フェルマーの最終定理」の証明にも感動的な人間ドラマがたくさん含まれています。

興味のある方は新潮文庫の「フェルマーの最終定理」という本をぜひ読んでみてください。

今後、IUT理論を用いて他にも様々な予想が解決されるかもしれません。京都大学の望月教授の動向にもこれから注目したいですね。

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この記事を書いたのは

大学の先生

30代大学教員 アメリカ在住

京都大学大学院修了 博士(工学)