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アメリカの大学教員の働き方と日本の大学教員が激務な理由。

アメリカと日本の大学教員の違い。給料制度・働き方を比較しました。

今回はアメリカの大学教員と日本の大学教員の違いを私が所属している(もしくは所属していた)大学を例に挙げてお話します。

研究分野によっても習慣が微妙に異なりますので、私の個人的な経験としてお読みいただけると幸いです。

実はアメリカの大学と日本の大学の教員は「研究・教育をする」という点においては同じですが、働き方はかなり違います。

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アメリカと日本、大学教員の給料制度の違い

アメリカで働く大学教員の年収はいくら?

アメリカの大学教員の場合

まず1番大きな違いは給料についてです。

驚くことにアメリカの大学では教員は大学で決められた給料の半分しかもらうことができません。

例えば、1年間の決められた給料が仮に1,000万円だとすると、アメリカの大学はその半分の500万円しか支払ってくれません。

このままだと大学教授にしては給料がかなり少なくなってしまいます。

そのため、アメリカの大学では給料の残り半分を自分でとってきた研究予算から支払うことが許されています。

研究予算とは国や企業に対して、「私はこんな面白い研究をして○○の役に立つことをするので研究予算を下さい」というような提案をしてお金を稼ぎます。

つまり、アメリカでは自分で頑張って研究予算をとればとるほど、ある程度まで給料を増やすことができます。

逆に研究予算をとることができなければ、給料はかなり少なくなってしまいます。

成果を挙げなければ自分の給料に直結してしまうという実力主義を尊重するアメリカらしいシステムになっています。

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日本の大学教員の場合

一方で日本の大学教員の場合、支払う給料は、職位(教授・准教授・助教)と何年務めたか、ということで決まります。

そのため、どれだけ頑張ったとしても基本的に給料は変わりません。

ちなみに国立大学の教員のお給料の表は全て大学に公開されています。

もし興味があれば「大学名 給与規定」で検索してみても良いかもしれません。

⇒Dマル合とは?あまり知られていない大学教員の資格について。

メリット&デメリットを比較

このように両者の制度は少し異なりますが、どちらの制度も良し悪しがあります。

例えば、研究は成果が出るまである程度の期間がかかることもあるため、じっくりと成果が上がるまで待ってくれる日本式の制度のほうが合っているかもしれません。

一方で、アメリカの大学は問答無用で成果を出し、研究予算をとってくる必要があります。

そのため、基礎研究であっても知恵を働かせて予算を自分で取ってくることが大切です。

この点はじっくりと成果が上がるのを待ってくれる日本式のほうが優れていると言えるかもしれませんが、

一方で日本式の場合、頑張った人と頑張っていない人で給料面で差別化することは難しいです。

つまり、日本式のやり方だと優秀な大学教員がより一層努力するインセンティブ(報酬)がありません。

アメリカ式の場合、頑張れば頑張るほど自分の給料に直結するため、優秀な人もさらに努力するような仕組みになっています。

アメリカでは「研究を専門にする人」「教育を専門にする人」がいる

研究専門と教育専門の大学教授がいる。アメリカと日本の違い

日本の大学

日本の大学では、大学教員は研究・教育・予算獲得・書類仕事など多岐にわたる仕事をこなすレオナルドダヴィンチのような多才さが必要となります。

そのため、1日8時間労働するとしても、時間を4等分すると研究に2時間程度しか費やすことができないことになります。

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アメリカの大学

一方で、アメリカの大学の場合、研究を専門とする人と教育を専門とする人が分かれていることがあります(もちろん両方をこなす人もいます)。

この場合、研究を専門とする人は教育に時間を費やす必要がなくなり、教育を専門とする人は研究に時間を費やす必要がありません。

また、研究の得意な人はさらに研究を進めることができ、教育が得意な人は自分の能力を最大限に活かすこともできます。

これは大学教員だけではなく、大学の学生にとってもメリットは大きいです。

というのも、授業をする専門の人は教育の得意な人が多いため、授業がわかりやすい事が多いからです。

実際にアメリカの大学と日本の大学で授業を受けた経験がありますが、アメリカの大学の授業のほうが説明もわかり易く、また先生もやる気に満ち溢れているので学習効果は高かったように感じます。

ちなみに、アメリカの大学では学期末の最後に学生向けにアンケートがあり、そこで授業の評価が悪いと教員の待遇が悪くなったり、最悪の場合クビになることもあります。

アメリカの大学はお金に余裕がある

更にアメリカのサイエンス業界は日本と比べてお金に余裕があるため(基本的に日本の数倍から十倍のお金があります)、書類仕事などの事務作業は(大学教員ではない)大学職員のサポートがかなり大きいです。

そのため、実際にはアメリカの大学教員は書類仕事は日本と比べるとかなり少なく、研究や教育など自分の得意なことにより一層集中することができます。

この点はアメリカのほうが優れていると思いますが、日本の大学はどこもお金に余裕がないため仕方のない部分もあります。

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日本の大学教員が激務な理由

失敗・挫折を味わう人。デメリットもある

最近では日本の大学教員の激務さが問題視されつつありますが、激務になってしまう理由の一つには、上記のように日本の大学教員は様々なタスクをこなすことを要求されるからだと個人的に考えています。

アメリカでは大学教員は基本的に9〜10時に来て、5時にはみんな帰ってしまいます。

週末前の金曜日ともなると4時には帰ってしまう人も多いです。

日本の大学ももう少し教員の負担を減らして研究や教育に集中できる環境があると、生活に余裕ができたり世界的な競争力も上がるかもしれませんが、

この問題は予算とも関わってきますので一朝一夕には解決できそうにありません。

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この記事を書いたのは

大学の先生

30代大学教員 アメリカ在住

京都大学大学院修了 博士(工学)