ロシア式算数というのを聞いたことはあるでしょうか?インド式算数なら聞いたことはある方もいるかもしれませんが、ロシア式算数を聞いたことがあるというママパパはそこまで多くないかもしれません。
実はロシア式算数というのはアメリカやカナダを中心に話題になりつつある算数の勉強法なのですが、まだ日本ではほとんど知られていません。
高学歴パパ・ママのご家庭で人気のロシア式算数について紹介します。
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ロシアは数学に強い!?
まずロシアは非常に数学、物理やコンピュータサイエンスのような理系科目に強いことで有名です。
特にトップクラスのハッカーはロシア出身者が多いという実績もあります。
実際に私がアメリカに滞在している間も、非常に優秀なロシアの研究者に出会う機会がいくつもありました。
このようなロシアではどのような算数教育が行われているのでしょうか?
ロシア式算数とは?
ロシア式算数では、いわゆる公文のような計算を数多く行う教育法ではなく、クリティカルシンキングと論理的思考力を重視し、問題解決能力を養う教育法になっています。
具体的な教材としては、パズル形式の問題や算数の文章問題などが多く利用されています。
国際数学コンペティションのホームページから具体的な問題例を見ることもできます。
*国際数学コンペティション https://rsmfoundation.org/try-math-problem-2/
Grade 3-4が日本の小学校3-4年生、Grade 5-6が5-6年生、Grade 7-8が中学校1-2年生に向けた問題です。
単に問題を解いて先生の解説を聞くだけなのであれば、日本でも上記の問題程度のレベルの塾はたくさんありますが、ロシア式算数の面白いのはここからです。
ロシア式算数では、この問題の解き方を生徒が黒板などに書き込み、解説します。
そして、この解説に対し、他の生徒から反対意見や改善案などがある場合、黒板に書き込んでいき、どんどんブラッシュアップしていきます。
このように教師から生徒への一方向的な教育ではなく、生徒に自分で説明してもらい、さらにそれに対して意見を述べてもらうことで自由な議論が展開されます。
日本でも最近では、双方向授業というのが叫ばれていますが(双方向授業とは、生徒と教師の対話によって組み立てられる授業)、ロシア式算数はさらにそれを発展させ、生徒間の対話をも含めているという点で見習うべきことがあるかもしれません。
単純に問題を解く能力だけでなく、それを周りの生徒に納得してもらえるよう説明する、というのは非常に高度なクリティカルシンキングと論理的思考力が必要になります。
そのため、これらの能力を鍛えるためにはとても良い学習法と言えるでしょう。
学年にもよりますが、生徒はこのロシア式算数を週に2時間から4時間程度受講します。
このロシア式算数を受講したアメリカの生徒は、他の生徒よりもSATスコア(いわゆる日本の大学入学共通テスト)が平均で800点満点中774点と非常に高い傾向にあります。
また、HMMTというハーバード大学とMITが共同で実施している算数コンペティションや、パープルコメット算数コンペティションでも、ロシア式算数の受講者は非常に好成績を収めています。
実績がすごいですね。
このようにロシア式算数は生徒の学力向上にも大きな影響を与えるとして、近年注目されています。
*HMMT(The Harvard-Mit mathematics Tournament )https://www.hmmt.org/
*Purple Comet! Math Meet https://purplecomet.org/
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ロシア式算数を解いてみよう。
まずは3・4年生の問題にチャレンジ。
ただ問題を解くだけじゃダメだよ、親子で一緒にディスカッションしよう。
カメが6マイル歩くのに2時間かかります。何分で2マイル歩くでしょうか?
□20
□40
□60
アンナは10体の人形を持っていました。彼女はリサに5体以上の人形を与えましたが、すべてではありません。アンナが今持つことができる人形の最大数はいくつですか?
□7
□3
□4
□10
お次は5・6年生の問題にチャレンジ。
不足している番号を見つけます:
2016・199 = 2016・?+ 2016・98
□202
□101
□303
若い魔法使いはこの多くの呪文を知っています:60÷2×10。古い魔法使いは2倍の呪文を知っています。古いウィザードはいくつの呪文を知っていますか?
□650
□600
□500
□550
ここからは中学生(1・2年生)の問題になります。
三角形の角度の測度は3:4:5の比率です。この三角形の最大角度の測度は何ですか?
□75
□45
□105
アルバートの食料品店にあるスイカ、マスクメロン、メロンの総数は231です。スイカ、マスクメロン、メロンの比率が4:8:9であることがわかっている場合、店内にあるスイカの数はいくつですか。
□44
□50
□48
□46
*問題は国際数学コンペティション より引用。
ロシア式算数はアメリカで始まった?
このようなロシア式算数は、実はアメリカで始まったというと驚く方も多いかもしれません。
ロシア式算数は、“Russian School of Mathematics (RSM)”という名前でアメリカやカナダで呼ばれています。
ロシア式算数は、旧ソ連の教育に基づいた教育法で、イネッサ・リフキンというロシア人女性により1997年ごろからアメリカで広がりはじめました。
リフキンはもともと旧ソ連の教育を受けていたのですが、アメリカで息子を育てていた際に、旧ソ連で受けた教育とアメリカの教育に大きな差があることに気づきました。
これに疑問を持ったリフキンは息子とその友達をロシア式算数で指導し始め、これがロシア式算数の始まりと言われています。
現在では特にK-12(日本で言うところの幼稚園年長から高3までの期間)に対する教育法として人気となっています。 (2, 3)
*Russian School of Mathematics https://www.russianschool.com/
*Should Your Kid Be Taking Russian Math? https://www.bostonmagazine.com/education/2020/03/31/russian-school-of-mathematics/
現在では、コロナ下の影響もあり、実際に教室で学習するだけでなく、オンラインでロシア式算数教育を受けることも可能になっています。
現在ではアメリカとカナダを中心に4万人の生徒が53ケ所の教室でロシア式算数を受講しており、24カ国からの学生がオンラインで参加しています。
オンラインコースでは指導は英語ベースになってしまうのですが、もしも興味がある方がいれば見てみても良いかもしれません。
授業料は、最低金額が1時間$20(およそ2300円)から始まり、学年やコース内容によって変動があるようです。
最も難しいコースになると、1コースで23万円もの金額にもなるようですが、通常のコースを受ける分にはここまで高額になることはなさそうです。
30代
あっ君パパ
京都大学大学院修了
博士(工学)
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