アメリカの小学校ではどのようなプログラミング教育を実施しているのか、気になりませんか?
なぜ今プログラミングが熱いのか?
一昔前までプログラミング教育は、プログラマーになりたい人にだけ必要なものであるという認識がありましたよね。
しかし、昨今では文章の読み書き計算といった、子どものうちに身に付けるべき基礎的な能力・学力という位置付けとして考えられるほどその重要性を増してきています。
日本では文部科学省によって小学校では2020年、中学校では2021年、高等学校では2022年からプログラミング教育の必修化が行われようとしています。
先進国の中でも高齢化が著しい日本において、各国とのビジネス競争に打ち勝ち、第4次産業革命時代を生き抜くためには、IT技術を身につけることが必要不可欠であると考えられているからです。
このようなニーズの高いプログラミングですが、なんと他国ではすでに学校で必修化している国もあります。
代表的な国としてアメリカ、イギリス、イスラエルなどが挙げられます。
その中でも今回は私の在住しているアメリカに焦点を当ててご紹介したいと思います。
ママ
アメリカのプログラミング教育事情とSTEM
世界的企業の経営者を多く輩出しているアメリカですが、かつて学校の授業でプログラミングを学ぶ機会は多くはありませんでした。
しかし、国策としてSTEMを推奨する取り組みが始まってからは必修授業となりました。
STEMとはそれぞれ、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の頭文字をとったもので、この4分野に重点を置いた教育方針のことです。
アメリカの今後の経済成長のためには、科学や数学などをベースに展開する科学技術分野が重要視されています。
そして、STEMは人材育成を早い段階から行い、それらの分野で子どもたちが将来リーダーとして働き活躍することを目的としています。
アメリカが世界に誇る科学技術分野での優位性を保ちながら、将来的にもそれを維持していくための国家戦略としての性質も持っており、前オバマ大統領も演説においてSTEMは優先課題の一つとして取り上げ、一層の注目を集めるようになりました。
STEM教育で子どもたちは、自分が学んでいることの意味や役割を意識しながら学習できるので、「何のために学ぶのか」や、「この知識は社会にどのようにいかせるのか」を明確に理解することができ、学習することへのモチベーションを高めることができます。
一方で、プログラミング教育が必修化されているといっても、日本のように学習指導要領に詳細な指導内容や時間などが記され、すべての学校が準拠しているといった例は少なく、州や市、学校、指導者の裁量に委ねられる部分が多く、実際の開講率が不明な点もあります。
しかし、いずれにしろ自国の経済成長を担う子ども達を育成するのを目的としており、問題解決能力や創造性を高めるようなカリキュラムが組まれています。
Code.org
2013年の1月に、プログラミングを全米の教育プログラムに組み込んでもらうことを目指して創設されたNPO団体があります。それがCode.orgです。
Code.orgはApple(アップル)社やMicrosoft(マイクロソフト)社、Google(グーグル)社などの大手IT企業が協賛しており、幼稚園児から高校生までの子どもたちに向けた教材や、教員用のツールをウェブ上に公開し、プログラミング教育の導入を総合的に支援しています。
さらに、2013年からアメリカで毎年12月にある「コンピューターサイエンス教育週間」にあわせて、全米の教師に1時間のプログラミング教育実施を呼び掛ける「Hour of Code」(アワー・オブ・コード)イベントも開催しています。
このように、Code.orgはアメリカの小学生のプログラミング学習の基盤を形成できるよう活動を行っています。このCode.orgは、日本からもサイトにアクセスすることが可能で、日本語で講座を受けることが可能となっています。
ビル・ゲイツやFacebook創設者のマーク・ザッカーバーグなどの支援として1000万ドルを提供されていることもあってか完全無料で受けることができます。大まかに年齢によって学べる事柄が分類されており、4歳から18歳向けの講座が用意されています。
また、教材には「スターウォーズ」や「アナと雪の女王」などの子どもが親しみやすい題材が使われているので、今までプログラミングに触れたことのない子どもでも始めやすいかもしれません。
普段は受け身になりがちなゲームも、この教材を使うことで自分が作る側に回ることもでき、そういった未来への可能性を広げてくれる良い機会でしょう。
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プログラミングの将来性
過去とは比にならないほどの速さと規模で成長を遂げているIT産業ですが、現状、それに対応するIT人材の数が追いついていないと言われています。
日本では2020年にプログラミングが小学校から義務教育化されたことで、今後プログラミングができることは、当然のように要求されるスキルとなる可能性があります。
そのような未来に備えて今の段階から技術を習得するというのは未来の可能性を大きく広げるものであると言えるでしょう。
日本の小学生にとってはあまり馴染みのないプログラミングですが、Code.orgなど低学年でも学ぶことのできる教材は存在しており、最初は遊び感覚で気軽に始めるだけでも、子どもの未来の選択肢を増やしてくれるかもしれませんね。
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30代大学教員
男の子パパ
京都大学大学院修了
博士(工学)