「うちの子、がんばってるのになかなか伸びないなぁ…」とお悩みのママは多いですよね。
学校から帰ればすぐに机に向かってたくさんの課題をこなし、塾にもしっかり通っていて、誰が見てもがんばっている。それなのに成績が伸びないのは、「メタ認知能力」が身についていないからかもしれません。
今回は、子どもに「メタ認知能力」を身につけさせるための方策について、渡辺理文先生(北海道教育大学教員)の研究「小学校段階の理科における熟達者に関する一考察―メタ認知的知識の分析を基にして―」(2019年)をもとに紹介します。
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メタ認知とは?
「メタ認知」とは、自分で自分の行動や思考を客観視する力です。
たとえば、あなたは今、子どもの教育に役立つ内容が書かれている本を読んでいるとします。
そしてそのとき、「何をしているの?」と尋ねられたとしたら、あなたは何と答えるでしょうか。おそらく、多くの人は「自分は今、本を読んでいる」と答えるでしょう。
しかし、「なぜその本を読んでいるの?」と尋ねられたとして、あなたはすぐに答えられるでしょうか?
もし、「わが子の教育に役立つ情報を得るため」と間髪入れずに答えられたならば、あなたは「メタ認知」を身につけていると言ってよいでしょう。
「なぜその本を読んでいるの?」という質問には、「自分は今、何を目的に、何を期待してこの行動を行っているのか」を自分自身でしっかり把握していなければ、的確に答えることができません。
試しに、勉強をしているわが子に、「なぜその勉強をしているの?」と尋ねてみてください。
答えに窮してしまった場合はもちろんのこと、「将来のため」などの曖昧な答えが返って来たならば、「メタ認知」が身についているとは言えません。
成績が伸びる子は何を目的に、何を期待してその勉強しているのか、具体的な答えを返してくるものです。
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子どものメタ認知能力を鍛えて成績アップ!
「メタ認知」を身につけると、なぜ子どもの能力が伸びるのか。それは、「メタ認知」によって効果的に、効率的に学ぶことができるようになるからです。
「メタ認知」を身につければ、なぜ、今、自分がその勉強をしているのか、目的をしっかり理解しているため、目的に向かって真っ直ぐ、無駄無く学ぶことができるようになります。
また、課題にぶつかったとしても、課題を解決する上で自分に足りないものは何かを瞬時に理解し、どうやって立ち向かえば良いかを考えてすぐに対処することができます。
↑出典:ベネッセ教育情報サイト https://benesse.jp/kosodate/202001/20200131-1.html
たとえば、もし、あなたが突然「丸をたくさん描いてください」と指示されたとしたら、どう思うでしょうか。
おそらく、多くの人は「なぜ?」と尋ねるはずです。しかし、「目的は教えません」と答えられたとしたら、どうでしょう。きっと丸を描く手はなかなか進まないはずです。
ところが、「後で丸の中に顔を書き足して、顔がたくさんある絵に仕上げてほしいのです」と目的を明かされたとしたら、どうでしょうか。きっと、顔が描きやすい大きさの丸を、何の迷いもなく、スムーズに、たくさん描くことができるでしょう。
目的を理解しているか理解していないかで、これほどまでに行動の質に差が出ます。
子どもの学習においても同じです。「自分は今、何を目的に、何を期待してこの勉強をしているのか」を理解できている子どもの学習は、そうでない子どもに比べ、その質がはるかに高いのです。
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簡単トレーニング具体例
子どもの「メタ認知」は、家庭学習の中で伸ばすことができます。その際たる例として挙げられるのは、「自分ができないことを把握させること」です。
自分で自分ができないことがわからないようであれば、ママが見つけて指摘してあげても良いです。とにかく、「自分はこれができていない」という自覚を子ども持たせてあげましょう。
そして、次に踏むべきステップは「できないことをできるようになるためには、何をすればよいか」計画を考えることです。これも、自分で考えることが難しい子に対しては、ママが導いてあげてかまいません。
続いて、できないことをできるようにするために考えた計画を実行します。計画を実行して少しでも成果が出たら、親はすかさず成果が出たことを指摘し、褒めてあげましょう。
この一連の流れを繰り返すことで、子どもは「できないことがあれば、できないことをできるようにするための計画を立てて実行すればいいんだ」と理解します。
↑出典:ベネッセ教育情報サイト https://benesse.jp/kosodate/202001/20200131-1.html
そしていずれ、自分ひとりで課題を把握し、課題を解決するという目的意識を持って学習に取り組むことができるようになるはずです。もちろん、計画がうまくいかないこともあるでしょう。しかし、それはかえってチャンスです。
なぜ期待した成果が得られなかったのかをママが一緒に考え、計画を練り直し、成果が得られるようになるまで粘り強く頑張りましょう。
そうすることで、子どもは「成果が得られなかった場合は、計画段階に立ち返って計画を練り直せば良い」ということを学び、失敗しても何度でも立ち上がれる子になっていきます。
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「子どものメタ認知能力をトレーニングで鍛える」まとめ
わが子を伸びる子に育てるためには、「メタ認知」を身につけさせるのが何よりの近道です。
子どもが明確な目的を理解した上で勉強に励むことができるようにサポートしてあげれば、子どもに「メタ認知」が身に付き、ゆくゆくは、自分ひとりで課題を把握し、課題を解決するという目的意識を持って学習に取り組むことができるようになっていきます。
また、「メタ認知」は大人になっても、むしろ、大人になってからは絶対に必要な能力であると言われています。
生涯にわたって挑戦し続けられる人になるためにも、子どものうちから「メタ認知」をしっかり磨いておきましょう。
【参考文献】
渡辺理文(北海道教育大学教員)・島津治親・鐙孝裕「小学校段階の理科における熟達者に関する一考察―メタ認知的知識の分析を基にして―」(2019年)
http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/10563/1/70-1-kyoiku-23.pdf
ニックネーム:ちぃちゃんママ
0歳と3歳の母。
国立大学教育学部の大学院修了。
教育関連の学術論文を多数読破。
母親目線でわかりやすく学術論文を紹介します。
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